たまたま駅でメールをしながら電車を待っていると上司が声をかけてきた。そして一緒に帰ることになった。
ポケットにしまったiPhoneが短く震えた。どうやらメールの相手から返信が来たようだ。
電車を乗り換え、上司・俺・知らないおっさんの順で座った。
俺の隣に座っていたおっさんは、コートの裾をきちんとしまわないおっさんだった。俺は座ろうとして躊躇した。
しかしおっさんはコートの裾を直さないのだ。俺はおっさんのコートの上に座ることにした。
上司はスマホを取り出し、正月に泊まったホテルのHPを僕に見せながら、ここ安かった割に良かったんだ、彼女とでも行けよと言った。最悪デリヘル呼べよと付け加えた。
おっさんは混み合った電車の中で随分とリラックスしているようだ。スマホを取り出してイヤホンをはめ、YouTubeを見始めた。進撃の巨人の動画を見ているようだ。面白いのか、面白いのだろう。随分とリラックスしている。
まるでゆったりとしたソファに腰を沈めているようだ。
俺は軽く舌打ちをした。
狭いわ!