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丸の内の山賊

日記

山賊で生計を立てていく事を時折考える。
しかし、このご時世、山の峠道で待ち伏せして通行人の金品を奪うというのは非効率的だと思う。
「おっ誰かきたぞ」
「金を出…ブーン
といった感じで置いて行かれるのが関の山だ山だけに。
また、運よく車を止められたとしても今豆腐しかないっす豆腐でいいっすかと言われこっちとしても「それはなんかもめんなさい」と口にするのが関の山(山だけに)であろう。「いや、そんなきぬしないでください」そして走り去るAE86…ブレーキランプ5回点滅、ガ・ン・モ・ド・キのサイン。

 

山賊よ山を捨てよ。
まだ山中で消耗してるの?俺はシティ派山賊だからと山賊メンバーに別れを告げやってきました大都会。
ここで一旗揚げるまで、故郷の事は忘れるのだ。決意を固め、代官山を根城にする(山に寄り添う気持ち)
しかしここは大都会。道行く人々は山の中から出てきた小汚い身なりの山賊の事など相手にもしない。
「やい金をだせ」
「ここは白金じゃないですよ」
「やい食い物を置いていけ」
「駅前に成城石井がありますよ」
「やい…恵まれない山賊に愛の手を」
「やい…」
「……」

 

すっかり打ちひしがれてしまった山賊。
とぼとぼと歩いて、やってきたのは丸の内。
「ここが東京…」
故郷の山にあった樫の木よりも大きなビルヂング
上を見上げるとその巨木の隙間から空がのぞく。
「おっかあ…」
ぐっと拳を握りしめ、しんみりとうなだれる。目には涙。
「都会の人間がこんなに冷たいとは思わなかった」
懐かしい峠の景色が思い浮かぶ、樫の木、AE86、豆腐
「冷っこい豆腐は美味かったのにな…ははは」

 

ふと、前を向くと大きな荷物を持った男が歩いていた。最後にあいつを襲って駄目なら故郷へ帰ろう。
涙を拭い、精一杯の低い脅し声で声をかける
「おい金か食い物を置いてきな!」
これが予想外にも成功した。大きな荷物は奪えなかったが、もう片方の手に持っていた紙袋を落とし、その男は逃げていった。
初めての獲物である。白地に赤い字の書いてある紙袋。
中には白い饅頭が詰まった箱が入っていた。
ぎっしりと肉の詰まった饅頭。貪るようにあっという間に平らげた。
腹が満たされ、改めて周りを見てみると、同じような袋をもった人間が多い事に気が付いた。
「…こりゃあいけるかもしれん」
山賊は新たな獲物に向かって歩き出したのであった…

 

以上「東京駅で大阪出張帰りのサラリーマンが持っている551の豚まんを専門に狙う山賊」のシミュレーションでした。
多分やっていけると思います。