ばいあすにゅーたうん

俺は屁をこくシステムだ

優しさの値段 ~一本五千円の重み~


優しさの値段 〜時給1万円の重み〜


この増田を読んで、そういえば似たような事あったなあと思いだしました。


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大学2年のある日、ごろごろしていると部屋のドアがノックされた。※インターホンがないアパートだった


「すみません...○○ですが...」


隣に住む○○さんだった。この○○さんは春になると大声を出しながらアパート中を走り回る方だった。元気な方でした。
しかし何の用だろうか。うるさくしてしまったかな?と思いながら「はーい」と返事をし、ドアを開けた。


「救急車呼んでもらえるかな...」


僕は一瞬で頭が真っ白になってしまった。

救急車!呼ぶためには119番しなくてはならない!やばい!やばい!どうしよう!

恐らく、○○さんより血の気が引いていただろう。
震える手で携帯を掴み、「1」「1」「9」とダイヤル。

もしもし!救急です!○丁目の○アパート!隣人の方が!

真っ白なまま通報し終えた。
電話を切ると、○○さんが何かを渡してきた。


「これ...電話代...」


五千円札であった。新渡戸だっただろうか。もうこの頃は樋口だったかな?
いやいや受け取るわけにはいかないと返事するものの、いいからとっといて!と札を握らせて部屋に戻っていってしまった。
僕は別にお金が欲しくて通報したわけではないのだ。
※『お金が欲しくて通報』と書くとお尋ね者を通報したみたいだ注意しよう
でもまあ貰ってしまったし、それに5千円はとても貴重だ。
う、うーむ……
それより、救急車を迎えなくては!
僕はポケットに札をねじ込み、道に出て救急車を待った。
待つこと数分、到着した救急隊員に経緯を説明した。
救急隊員は僕の説明を一通り聞き終えると、小さく「またか...」と呟き、○○さんの部屋へ入っていった。
「またか...」とは?ともかく僕はこれで役目を果たしたと、自分の部屋に戻っていった。


そして残ったのは5千円札である。
正直なところ、もうパーッと使ってしまいたいという気分に駆られていた。
ご飯食べませんか?と先輩2人にメールし、近くのサイゼリアで落ち合った。
サイゼリアで5千円を使うというのは実に愉快であった。
1人あたり1600円も使えるのだ、頼んだことのないステーキなどを頼んだ。
先程の経緯を話しながら食事を終えた。


食事を終えた後はそのまま先輩の家まで行き、遊んだ。
そして翌日家に帰ってきた。
鍵を開けようとしていると、隣のドアが開いて○○さんが顔を出した。
昨日は大丈夫でしたか?そう聞こうとするのを遮るかのように○○さんが言った。


「昨日の5千円返してもらえる?」


優しさは貰ったら返すもの。僕は学んだ。